この投稿は1〜3年目のセラピスト向けの内容となっています。
臨床上、必ずと言って良いほど評価している姿勢。
なぜ姿勢の評価が必要なのか?
そもそも姿勢って何?
日頃当たり前に
評価している姿勢ですが、
姿勢を通して何を評価するのかを考えたことがありますか?
僕が1年目のときは、
この人はランドマークから逸脱している姿勢不良だ!
この人はアライメント不良だ!
だから正常に近づける必要がある!
不良姿勢は正常と違うから治さなきゃ!
と姿勢に対して見たままの現象を
鵜呑みにして、
評価・治療を行っていました。
姿勢はあくまで外見。
その姿勢が示す原因とはなにか?
最近はそういう視点が
大切だと感じてます。
今回は姿勢とはなにかについて改めて考えようと思いました。
姿勢について調べたことを通して、
感じたことをアウトプットしていこうと思います。
この投稿を見ることで、
を知る・学ぶことができます。
まずは姿勢の言葉の意味と構成要素について書いていきたいと思います。
姿勢とは
まず、姿勢の言葉の意味について。
辞書で調べてみると、
姿勢の意味
身体が静止・運動している状態に関わらず、身体の保つ様子を指して姿勢という。
からだの構えである。
など
要約すると、
姿勢は身体の・構えのこと(静止時・運動時問わず)
と解釈できます。
つまり、
姿勢は静止時・運動時の両方に
存在しているということです。
セラピスト2年目くらいまでは、
姿勢は静止画。運動は動画。
みたいなニュアンスで解釈していました。
生理学者のSherrington(シェリントン)は運動と姿勢の関係について、
「姿勢は運動に影のようにつきまとう」と言っています。
このことからも、
姿勢は静止時・運動時問わず存在しているからだの構え(見た目)。
外見的な身体を形をして表現している用語ということがわかります。
体位と構えについて
外見的な身体を形をして表現している用語である姿勢ですが、
臨床的には姿勢には構成要素が存在します。
「体位」と「構え」です。
体位は、
身体が重力方向に対してどのような関係にあるかを示し、
構えは、
頭部と体幹、四肢の身体各部位の相対的位置関係を示します。
簡単言うと、
体位は重力との関係。
例)立位・座位・臥位・膝立て位など
構えは身体の位置関係。
例)肩関節屈曲30°・膝関節屈曲20°など
この体位と構えを学んで、
改めて、姿勢とは
あくまで外見的な用語。
見た目でしかないと感じました。
見た目は現象。
分析として知りたいことは、
現象に潜む原因です。
ではなぜ姿勢を評価し、
何を分析しているのでしょうか?
僕らは姿勢から何を解釈すればよいのでしょうか?
結論から言うと、
「重力に対してどのようにバランスをとっているか」です。
では、バランスについて掘り下げて行こうと思います。
バランスについて
臨床上、バランスという言葉はよく使われます。
実習や症例発表で安易に口にするとよく突っ込まれる。
いわば諸刃の剣ワード!
ですが、
この諸刃の剣ワードは
姿勢を解釈する上で
重要な要素だと思っています。
ではバランスについて整理していきましょう。
まずバランスの定義から。
バランスとは、重力をはじめとする環境に対する生体の情報処理機能の帰結・現象。支持基底面に重心を投影するために必要な平衡に関わる神経機構に加えて、骨のアライメント、関節機能、筋力などの要素がある。
奈良 勲,内山 靖(編):姿勢調節障害の理学療法
とバランスについて定義されています。
この定義には大きく分けて2つの要素があります。
バランスとバランス能力です。
まず定義前半について
重力を始めとする環境に対する
生体の情報処理機能の帰結・現象。
※帰結:決着すること。推理・議論・行動などが最後に落ち着くところ。
これは環境(重力などの外力)を身体の内部機能が処理した結果の現象のこと。
これがバランスと考えられます。
人間は重力下で活動しています。
姿勢における体位が重力に対する身体位置です。この姿勢が示す外観とは
この重力に対してバランスを取っている結果や現象であることがわかります。
そしてこの現象をどのように生じさせているかが定義後半の
支持基底面に重心を投影するために必要な平衡に関わる神経機構に加えている。
骨のアライメント、関節機能、筋力などの要素。
この要素がバランスに必要な能力。バランス能力となります。
図に示すとこんな感じです。
つまり、姿勢を評価する際に、
重力に対してどういう
アライメントで、どのようにバランスを取っているのかを意識することが大切だと思います。
バランスが取れているとは
ではバランスが取れているとはどういうことか?
それは物体が倒れるか否かです。
安定性とも解釈できます。
倒れない条件は
「支持基底面内に重心を収めることができるか」です。
つまり、
支持基底面内の重心が逸脱:転倒
支持基底面内に重心を保持:安定
静的バランスと動的バランスがありますが、基本原則は同じだと考えてます。
静的バランスは姿勢を変えない状態で、重心を収めれているか。
動的バランスは姿勢を変化させながら重心を収めれているか。
静的バランス能力の定義は「体重心を一定の場所に保持する能力」、動的バランス能力は「体重心を目的の場所へ安定させて移動する能力」となる。
望月 久(編).『バランス障害リハビリテーション』.メジカルビュー社,2021,39P
なので、
バランスの評価をする際に、
この安定性限界・支持基底面、重心の評価が必要です。
支持基底面と安定性限界について
支持基底面とは、
物体やヒトが支持する面と接している部分の外周を結んだ範囲のことです。
印象として支持基底面が
広いと重心は安定し、
狭いと不安定であると
聞いたことがありますが、
安易にこの様な解釈をしてしまうと危ないです。
臨床上、支持基底面が広くても動揺があり不安定な方や
杖をついていても
不安定な方を見かけます。
注意として、
ヒトが姿勢を保持する際は支持基底面全体が使えるわけではありません。
実際は、
支持基底面のなかで安定的に姿勢を保つことができる範囲は個別性があります。
これを
安定性限界または機能的支持基底面といいます。
モーターコントロールで有名なShumway-Cook(シャムウェイクック)らは、
バランスとは、重心の投影点を安定性限界とよばれる支持基底面内の範囲内に保持する能力。
Shumway-Cook A,et al: Motor control theory and applications 5th ed,p.7-15,Williams and Wilkins,2017.
安定性限界・支持基底面と重心を用いてバランスを定義しています。
なので評価としてはまず、
1.支持基底面の評価
2.安定性限界の評価
の順番でバランスに必要な面を評価し、現象から能力を考えます。
支持基底面はあくまで範囲。
安定性限界を通して、その人が持つキャパシティ。
バランス能力を分析する必要があります。
重心について
重心とは、物事の中心となる点。
という意味があります。
力学の分野では、
物体の各部分に作用する重力の合力の作用点と言われています。
重心は身体分節の位置関係で決まると考えられます。
あれ?なんか聞いたことが…
そうです。
「姿勢における構え」です!
各身体分節の質量の中心に作用する点だと解釈しました。
これを
質量中心
(COM:Center Of Mass)
といいます。
重心位置の評価として、
この質量中心の理解が必要です。
姿勢の構えから、
各身体分節の質量中心を合成して重心をみつけたいですが、
視診から、
正確な重心位置の推定は困難です。
スクリーニングの評価で
重心位置の推定として、
重心位置
=上半身・下半身質量中心の中点
があります。
上半身質量中心:第7胸椎
下半身質量中心:大腿骨の1/2の近位1/3
にあると言われています。
この質量中心を3次元(矢状面・前額面・水平面)で意識しながら、
安定性限界の範囲と照らし合わせて、バランスを評価していきましょう。
まとめ
姿勢には体位と構えがあります。
体位は重力に対する位置関係。
構えは身体各部位の相対的位置関係。
姿勢を評価する際は、
ランドマークに
逸脱しているから悪い。
アライメント不良だから悪い。と
現象、結果だけを見るのではなく。
その背景に着目しましょう。
その背景とは
バランスとバランス能力。
支持基底面内に対して重心を収めることができているかという視点が大切です。
今回は評価の視点として、
・支持基底面
・安定性限界
・重心位置
を中心に書きました。
この内容はかなり抽象的です。
重心をどのように収めているか?
これは姿勢制御について、
また詳しく投稿できればと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
感謝です!😊
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